:NO.92『「課題先進国」日本―キャッチアップからフロントランナーへ』
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「課題先進国」日本―キャッチアップからフロントランナーへ (単行本)
小宮山 宏 (著)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4120038645/cg0853-22/ref=nosim/
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[ 8点 ] ※10点満点中
帯にあるとおり、東大総長が課題解決ビジョンと新国家像を縦横に語る良書。
著者は非常にロジカルな考え方という印象を受け、読みやすかった。
私は、未来の課題に対して、自ら答えを出していくというときに肝心なことは、「基礎」だと思う。「理論」と言い換えてもよいだろう。過去は分析で足りるが、未来の洞察には基礎が不可欠だ。現実をよく把握して、基礎的にものを考えるという姿勢が非常に大切である。
と説き、たとえばエネルギー・資源の問題において、
理論的にいうと、輸送は原理的にはエネルギーを消費しないはずものだ(※水平輸送で、且つ、摩擦係数がゼロの場合と理解している)。あとは、そういう理想の状態にどこまで近づき得るかというシステム設計が必要になる。それができれば、輸送コストを安くすることはできるはずだ。理論値は安価なのに現実のコストは高いとすれば、改良の余地が大きいのだ。それこそ改革者の出番である。これが基礎的にものを考えるということである。
というようなことを、いろいろな例を取り上げて、これでもか、これでもかと"基礎的にものを考える"ことの重要さを繰り返し伝えてくれる。
なるほど、課題解決において"基礎的にものを考える"ことは、原理原則に立ち返ることであり、そうすることによって複雑化した問題の本質が見えてくるだなと。
また、20世紀の負のレガシーとして知の細分化を挙げており、たこつぼ化した学者のコトバを信じるなと言う。これからはバラバラに分かれてしまっている知の統合化が重要であり、全体を俯瞰し、人類が持ちうる知を総動員して課題を解決し、新しい社会システムを創造しなければならないとのこと。
たしかにこの問題は地球・国家レベルだけでなく一会社レベルでも当てはまるよなーと思いながら、読了。
- 作者: 小宮山宏
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: 単行本
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