:NO.108『ガラパゴス化する日本の製造業』
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ガラパゴス化する日本の製造業 (単行本(ソフトカバー))
宮崎 智彦 (著)
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[ 7点 ] ※10点満点中
最近なにかと耳にする「ガラパゴス化」
ご多分に漏れず、日本の製造業(エレクトロニクス)もガラパゴス化しています。そして悲しいかな、韓国、台湾、中国の追随に完全にノックアウト状態。特に台湾。EMSで生産受託専門企業のホンハイの売上高は6兆円超。ここ10年の売上高成長率が50%を超えるという超ハイスピードな進化を遂げています。
で、自動車産業の今後がなんとも気になるので、「第8章 日本製造業の雄・自動車産業の死角」に注目して読みました。
現在は、急速にエレクトロニクス化している自動車産業に、日本の電機メーカーが経営資源を集中、新規参入し始めている時期。
今後のキーワードは、�低価格化、�コモディティ化、標準化、水平分業化。
�は、すでにインドのタタモーターズが30万円の自動車を発売するなど兆しは出てきている。確実にBRICsにはその波が押し寄せるが、日米欧の先進国に低価格車が普及するかどうかは不透明。
�は、自動車のエレクトロニクス化によって、パソコンのように製品自体がコモディティ化し、特別な技術が無くても、標準化された部品をアセンブリすれば作れるようになるのか。そして、アメリカが設計して、台湾が生産するというような水平分業化が起きるのかどうか。そこでのポイントは「製造工程間でどの程度のすり合わせが必要か」という点。
複写機の紙詰まりやインクの塗布のようにアナログ的な要素が多ければ多いほど、すり合わせの工程は必要になる。一方で、パーツが部分垂直ででき、すり合わせ工程が減り、単純なアセンブリの組み合わせで良い部分が増えれば水平分業化するリスクはある。
確かに、キヤノンの高収益はこういったすり合わせの工程が多い製品に特化しているため、日本の強みが現れている良い事例だと考えると、その他大手電機メーカーとの段違いな収益性の違いに納得がいく。で、自動車産業はこの水平分業化に向かうのか、ということが一番知りたかったのだが・・・、
結論・・・、
恥ずかしながら現在の筆者の力量では、「自動車でファブレス企業と台湾受託製造専業企業が組むような水平分業モデルが実現可能か」について論理的に可否を演繹する力を持ち合わせていない。
って・・・、そこんとこの見解が知りたかったのに・・・。
個人的にはGMがキーマンだと思っています。07年通期で4兆円以上の赤字を垂れ流し、まさに崖っぷち状態のGMが、台湾EMS企業と組んで、窮鼠猫を噛むかどうか。GM系列最大の部品メーカーデルファイ(日本でいうトヨタ自動車とデンソーの関係)が、Chapter11*1を適用されてしまったが、もしChapter7(破産)に移行でもしようものなら、GM系列の崩壊・整理が一気に進み・・・、なんてことにならないかな・・・。といいながら、すでに死に体のGMが早々にChapter11適用したりして。
最近でいうと、「いすゞ、GMから商用トラック事業売却の打診」のニュースがあったりと、今後もGM関連の動向には目が離せませんね。
- 作者: 宮崎智彦
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/09/12
- メディア: 単行本
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