:NO.9『世界経済危機 日本の罪と罰』

hiroki-u2009-01-17

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世界経済危機 日本の罪と罰 (単行本)
野口 悠紀雄 (著)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478007934/cg0853-22/ref=nosim/
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[ 9点 ] ※10点満点中

世界経済における日本の現在位置がよく分かる。しかも、分かりやすい。おまけに、各種統計資料(日米株価推移/為替レート推移/自動車・電機大手業績/アメリカ住宅価格推移/原油価格・金価格推移 等々)が図や表で挿入されていて良い感じ。

今起こっている世界経済危機は対岸の火事なんかではなく、日本の円安ドル高政策が招いた"円キャリートレード"が、アメリカの住宅バブルを煽った張本人であると。また、円安バブルの崩壊が、日本の「輸出立国」の終焉を意味しており、1ドル70円〜60円のレンジでの収益があがるような企業と産業の構造をつくることが必要であると説く。

金融資本主義や投資銀行を批判するのはよい。しかし、知恵がある人に対抗するには、こちらも知恵を持つ必要がある。そうでないと、いいように利用されてしまう。生産現場が強いのもよい。しかし、財務部門も強くなくては困るのである。そうでないと、工場が稼いだ金を、知らない間にとられてしまう。

日本にとって、耳が痛い話で・・・。財務にとって、耳が痛い話で・・・。

今回の危機は、ファイナンス理論が使われたために起こったことではなく、使われなかったために起こったことだからだ(特に、リスク資産の評価が適切に行われなかったことが問題だ)。

サブプライムローンの評価において、格付会社の出すトリプルAだけを盲信してしまった点を指摘しており、今回の危機(金融面だけ)の本質をこの一文が言い表しているように思う。

そして、これから日本が注力すべき箇所は、

とりわけ重要なのは、高度な金融専門家の養成だ。これは、日本の高等教育の中で最も立ち遅れた分野だからである。それを改善してゆくには、気の遠くなるほどの努力が必要だ。

、だって。『"智"に対しては、それを上回る"智"で対応する。』至極当然のことだが、たしかに気の遠くなるほどの努力が必要だよねー・・・。

世界経済危機 日本の罪と罰

世界経済危機 日本の罪と罰