:NO.52『不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか』

hiroki-u2008-05-19

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不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書 1926) (新書)
河合 太介 (著), 高橋 克徳 (著), 永田 稔 (著)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062879263/cg0853-22/ref=nosim/
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[ 7点 ] ※10点満点中
協力し合える組織の作り方。組織論です。
グーグル・サイバーエージェント・ヨリタ歯科クリニックを例に挙げて、協力し合える組織とは何ぞやを示しています。

まず、グーグル。グーグルの経営者は、自らの重要な仕事の一つは環境のデザインだと言っている。
  ◆その1:仕事環境のデザイン
       ⇒仕事の評価の仕組みや認知の仕組みの環境整備  
  ◆その2:価値観の徹底
       ⇒フラット・リスペクト・フェアという価値観
  ◆その3:公私混同の職場環境のデザイン
       ⇒24時間オンで積極的公私混同状態推奨

特にその3ですが・・・、

インタビューしたグーグル広報担当者は、「グーグルは、昔の日本の会社のようですよ」と語っていたが、このような環境に置かれた人々はどのように行動するのであろうか。
かつての日本の会社も、異なる形ではあるが公私一体モデルであった。会社と個々の人生が長期雇用というシステムで一体となっており、会社を危険にさらすことが自分の人生を危険にさらすことになった。そのため、会社を危険にさらすような手の抜き方を行わなかった。
グーグルはこの日本企業の一体モデルとは形が異なるが、その底辺に動いている力学は似たものとなっていると考えられる。

非常に優秀であり、且つ、協調性・自立性のある人材を集めているからこそ実現できているという点はあるものの、皮肉にも、かつての日本企業の良き点を現代の新しい形で取り入れたのが、グーグルというわけか。

それから、サイバーエージェント。うーん、うまいなと思った点。
会社にとってビジョンを掲げることが大切なのは言うまでもないが、掲げるだけのスローガン倒れになっているケースが多いんじゃないだろうか。掲げること以上に、浸透させるのは並大抵の労力では出来ない。

面白いのはこのステートメントをトイレの中に掲げていることである。しかも、トイレの鏡を見るとその鏡にこの文章が映し出されている。後ろを振り返ると、逆さまになった文字が刻まれている。なぜ、トイレなのか。鏡を見て自分を見つめる、その瞬間に絶えず、ミッションステートメントを意識しなおす。そうした繰り返しが、本当の理解に通じると考えたからである。

ライブドア楽天と同じくITバブル直前に上場した"逃げ切り組"としか認識していなかったけど、その他にもいろいろと斬新な人事制度を生み出して、陣頭指揮をとっている人事部門の強さを垣間見た気がしました。

最後に、サイバーエージェントのミッションステートメントを。

CyberAgent Mission Statement.
インターネットという成長産業から軸足はぶらさない。ただし連動する分野にはどんどん参入していく。『チーム・サイバーエージェント』の意識を忘れない。採用には全力をつくす。有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現。若手の台頭を喜ぶ組織で、年功序列は禁止。法令遵守を徹底したモラルの高い会社に。ライブドア事件を忘れるな。世界に通用するインターネットサービスを開発し、グローバル企業になる。

アツイな、もう!

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)