:NO.100『会社葬送』

hiroki-u2009-09-06

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会社葬送―山一證券 最後の株主総会 (角川文庫) (文庫)
江波戸 哲夫 (著)
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[ 7点 ] ※10点満点中

読了。

企画部門の一部メンバーと経営トップしか簿外債務2,600億円の存在を知らず、山一最期の社長である野澤さんでさえ、社長になってからその存在を知るほど。
そのため、一般社員からすると「山一の株価は下がってるけど、まぁもう少ししたら戻るだろ。」くらいの気楽な心境の最中での突然の記者発表。
今では伝説になってる1997年の「社員は悪くないんです。」発言は、バブル崩壊の象徴として強烈に印象が残っている。

会社がつぶれる時ってあっけないもんだな。でも、つぶれると分かってからキレイに清算するまではモーレツに大変なんだなーと。

主人公は山一証券総務部長。周りのメンバーが散り散りに退職、転職していく中で、最期まで会社清算に向けた事務処理、株主総会対策に奔走する姿を描いている。その中で随所に垣間見ることができた、溢れる"愛社精神"。21世紀には死語となってしまった"愛社精神"こそが、山一スピリッツだとしたら、自主廃業は悲しいかな必然だったのかなとも思う。

会社葬送―山一證券 最後の株主総会 (角川文庫)

会社葬送―山一證券 最後の株主総会 (角川文庫)