:NO.111『21世紀の歴史』
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21世紀の歴史――未来の人類から見た世界 (単行本)
ジャック・アタリ (著), 林 昌宏 (翻訳)
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[ 9点 ] ※10点満点中
21世紀の歴史ということで、今後の直近50年の将来社会を予測。超帝国、超紛争、超民主主義とよー分からん用語が出てきて、あんまりピンと来ませんでした。
どっちかっていうと、21世紀の歴史の前段が興味深く読めた。21世紀の歴史を予測するためには、これまでの歴史にヒントが隠されているということで、西暦1200年から現代までに中心都市となった9つの都市にスポットライトを当てられているんだけど、えっ?、その都市なの?ってのが、かなりあった。
ブルージュ :1200年〜1350年
ヴェネチア :1350年〜1500年
アントワープ :1500年〜1560年
ジェノヴァ :1560年〜1620年
アムステルダム :1620年〜1788年
ロンドン :1788年〜1890年
ボストン :1890年〜1929年
ニューヨーク :1929年〜1980年
ロスアンジェルス:1980年〜????年
これら中心都市は魅力的でクリエーター層(海運業者、起業家、商人、技術者、金融業者)が集まってくる素地を持っている。そして、中心都市は西へと遷移している。
ということは、10番目の中心都市は東京?なんて思ってしまった。
でも、ジャック・アタリが言うには、東京は1980年代に一度中心都市になるチャンスがあったにも関わらず、なり損ねたとのこと。
その原因としては・・・、
第一に、並外れた技術的なダイナミズムをもつにもかかわらず、日本は、既存の産業・不動産から生じる超過利得、そして官僚周辺の利益を過剰に保護してきた。特に情報工学の分野では、日本はカリフォルニアのシリコンバレーにリーダーシップの座を譲ってしまった。
第二に、海運業や海上軍事力などの海上での類いまれな覇権力があるにもかかわらず、日本は海洋を掌握することができなかった。また日本はアジアにおいて、平和的な信頼感にあふれた、一体感のある友好的な地域を作りだすことができなかった。
最後に、日本はこれまで十分な<クリエーター階級>を育成してこなかった。また、彼らを外国から呼び込むことも、迎え入れることもしてこなかった。
うーん、やっぱり、これに加えて21世紀の東京は超高齢化都市に突入することになるわけだし、クリエーター階級はもちろんのこと"移民政策"を推進することは、中心都市になる上で避けては通れない運命なのかも。もしくは、"移民政策"に背を向け、確信犯的な勇気ある衰退を目指すべきなのか・・・。
この本は、時間を置いてもう一度読んでみたいな。そう思いました。
- 作者: ジャック・アタリ,林昌宏
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2008/08/30
- メディア: 単行本
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