:NO.126『なぜ日本の製造業は儲からないのか』
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なぜ日本の製造業は儲からないのか (単行本(ソフトカバー))
石川 和幸 (著)
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[ 8点 ] ※10点満点中
いろいろな気づきを与えてくれる良書。勉強になりました。
最初の導入部分で、そもそも「日本企業は儲かっていないのか?」という、題名に反するような根本的な問題提起をしている。
「日本企業は儲かっていないのか?」とは、どういうことか?アメリカをはじめとする外国企業と比べて営業利益率が低い?ROA、ROEが低いってこと?本当にそれだけを追い求めて企業として儲かっていると言えるの?
いやいや、そうじゃないだろと。ゴーイングコンサーンを前提とした企業が、目先の利益だけに囚われていては、焼き畑農業と同じで長続きしないでしょうと。
そして、営業利益率、ROA、ROIっていっても、それは企業の一側面にスポットライトを当てただけで、本来はもっと複眼的に判断していかなけらばならないものだと、財務会計の限界を訴え・・・、言い換えるなら、あまりにも数値を神聖化し過ぎている弊害が出てきていると警鐘を鳴らしている。
要はバランス感覚が大切であり、俯瞰された数値に傾倒し過ぎることなく、現地・現物・現場を確認することを忘れてはいけない。つまり、マクロとミクロのバランスを取って経営していくということ。当たり前だけど、これ大事。
それから、日本の製造業が儲けを損なう5つの理由として、
日本の製造業が儲けを損なう5つの理由
①儲かるビジネスモデルが、戦略的にデザインできていない。
②SCMができていないため、無駄な在庫や生産能力を持ってしまう。
③儲けを損なう管理指標を設定している。
④製品に経営資源を集中し、儲かるアフター分野をおろそかにしている。
⑤ITが利益に貢献せず、金食い虫になっている。
を挙げており、②においては昨今のリーマン・ショック時に在庫調整が上手く機能しなかったことを取り上げ、日本企業のウィークポイントだと指摘している。しかしながら、SCMについて筆者はこうも言う。
SCMとして輸入されたコンセプト自体、日本の製造業が模範になっているのです。SCMの調達部分の考え方は、日本の「ケイレツ」をオープン化したもので、そもそも日本の製造業が長く実行してきたことです。コンカレントエンジニアリングといわれる共同・同時進行型の設計も、日本で設計の承認図方式として行われていました。
と先進の日本の製造業では古くから実行されてきていたと言う。手っ取り早くSCM導入〜という具合に、海外からの猿真似やっても上手くいかないんだと。寧ろ、IT導入時にコンサル、ソフトウェア会社にぼったくられるのが関の山だと・・・。
(他人事じゃないようで、空恐ろしいです。)
日本企業も他社の真似でない企業の強みの源泉になるような何か(もちろん、それがSCMでなくても)を、環境適応の中で個々に模索していくほかないということか。例えば、デルが誰にも真似できないビジネスモデルで他社を圧倒できたのは、環境適応のために考え抜かれた末の結果であるように・・・。
はい、うちもGoogleなんかに負けてられません!
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