:NO.2『経営に終わりはない』

hiroki-u2010-01-09

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経営に終わりはない (文春文庫) (文庫)
藤沢 武夫 (著)
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[ 8点 ] ※10点満点中

ホンダ創業者メンバーの一人、藤沢武夫の自伝書。
原理原則に則った頭のいい人という感じがした。10年以上のスパンで物事を考える思考回路がホンダをここまで大きくさせたんだと強く感じた。

思わずニヤリとしてしまったのは・・・、

「いや、重役は何もしなくていい。おれもそれでやってきた。何もないゼロのなかから、どうあるべきかという問題を探すのが重役の役目で、日常業務を片付けるのは部長以下の仕事だ。所長であったり重役であったりするのは、対外的な面子もあり、交渉の時にまずいからそうなっているだけで、重要な問題ではない。だから、役員は全部こっちへ来て、何もないところからどうあるべきかをを探してほしい」

と言い、役員を大部屋に集めて"無駄話"をさせたという箇所。もちろん単なる"無駄話"でなはく、役員=ある特定分野のエキスパートとして考え、異分野のエキスパートが集まって議論されることにより、思いがけない集合知みたいなのに期待してということだが。

つまりは、始末ばかりしている掃除屋ではなく、未知への探求者たる行動を取るべきだとして、役員のあり方を180度変えたということ。従来、自部門のトップとして「個室とたくさんの部下を持ってお山の大将」であったのが、「大部屋で秘書1人のただの人」となっては、ブーイングもすごかっただろうと思われる。

今でこそ、取締役と執行役員を分離して、日常業務は執行役員に任せて、中長期の経営方針に注力する体制は一般的なものになったが、30年以上も前にこういう集団思考による経営体制を作り上げていたのにはビックリだ。

その他、社長のあり方といい、、銀行とのつきあい方といい、結構いろいろと参考になることが多かった。経営者として自らが体験してきた「事実」が書いてあるだけに説得力があります。

経営に終わりはない (文春文庫)

経営に終わりはない (文春文庫)