:NO.74『エコカー戦争』

hiroki-u2009-06-22

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エコカー戦争 ~次世代クルマ戦争に勝ち残るのはどこか (洋泉社BIZ) (単行本(ソフトカバー))
畑野 旬 (著)
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[ 7点 ] ※10点満点中

なんか懐かしい。

大学の卒論で「自動車業界のエコ戦略」を書いたので、昔よくこういう関連の本読んでたなーと。で、読んでみると、もちろん近況は、プリウスインサイトがどうだとか、そろそろ電気自動車が500万円くらいで発売されそうだとか、詳しく書かれているけど、2020年〜の中・長期の取り組みに関して言うと、卒論書いた2000年頃とあんま変わってないような気がする。

かつて、MicrosoftIBMをOSというキラーソフトで形勢大逆転させたように、自動車業界も部品メーカーが完成車メーカーをなんらかのキラーパーツで形勢大逆転の時代が来るって考えてた。で、今どうなのかというと、そんなに状況は10年前と変わらず、特に日本の自動車業界は完成車メーカーを頂点にしたピラミッドはそのまんま。

では、その肝となるキラーパーツとは・・・、なんだけど、

本書によると、

ガソリン車の燃料を電気に、動力源を電気モーターに置き換え、排ガスやCO2を出さずに走る電気自動車(EV)。普通に考えれば、EVの"エンジン"といえば駆動用の電気モーターということになるだろう。ところが、日産自動車副社長の山下光彦は、
 
「それは違う。EVのエンジンは電池だ」
 
と言い切る。その理由は、
 
「電池が弱かったら車は走らないし、モーターの出力も、結局は電池の出力で決まってしまう。どんなに高性能なモーターを積んでも、電池がへたれば回らない」
 
からだという。つまり、EVの心臓部に相当するエンジンは電池であって、モーターは脇役(トランスミッション)にすぎないというわけだ。その"未来のエンジン"をめぐり、いま熾烈な開発競争が繰り広げられている。

そう、かつても電池、今も電池。パナソニックTOB三洋電機を買収することになっているが、何よりコワイのは電池事業。これでトヨタと合弁で作ったハイブリッド電池・ニッケル水素電池の製造・開発を行う"パナソニックEVエナジー"の主導権争いにもかなり影響を及ぼしそう。

それから、卒論書いた頃は、カナダのベンチャー企業のBallard Power Systems社が自動車業界のMicrosoftになるっ!!って思ってた(読んだ本の中にそういうことが書かれてて、それを鵜呑みにしてただけ。)けど、今はどうなんだろ。少なくとも本書には全く社名が出てこず、個人的には寂しい・・・。

[参考]
◆パナソニックEVエナジー株式会社
◆Hydrogen Fuel Cell Technology, Hydrogen Power in Buses | Ballard Power
◆バラード・パワー・システムズ - Wikipedia

エコカー戦争 ~次世代クルマ戦争に勝ち残るのはどこか (洋泉社BIZ)

エコカー戦争 ~次世代クルマ戦争に勝ち残るのはどこか (洋泉社BIZ)