:NO.87『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』

hiroki-u2009-07-28

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600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書) (新書)
上阪 徹 (著)
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[ 7点 ] ※10点満点中

名前くらいは知っていたけど、自分自身全く料理が出来ないし、縁遠いWebサービスでした。

特筆すべき点は2つ。Webサービスとして避けては通れない"広告"に対する姿勢とロジックを積み上げて行う質実剛健な経営。

まずとにかく広告に対する姿勢が好き。あくまでもユーザーの利便性を考慮し、Webサイトにも調和した”美しさ"にこだわる点は、Googleに通じる部分があるかなと。

そういう広告に対するポリシーは、編集長の小竹さんの理想像であり、トータルとして企業の方向性を的確に表しているように思う。

小竹にはひとつの理想がある。それは、東京ディズニーランドだ。あれほど訪れた人が満足するテーマパークはまず他にないだろう。だが実は個々のアトラクションやレストランには、スポンサーがついているのだ。しかし、ユーザーはそれを自然に受け止めている。広告もひとつのコンテンツに、楽しみを提供するものになっているのだ。小竹はいう。
「ディズニーランドみたいな場所がインターネット内に作れたら。いつも、そう考えています。それを目指して、いろんな取り組みを進めていきたいと思います。

もうひとつは質実剛健な経営姿勢であるということ。これはクックパッドが規模が大きくなり事務所を引っ越そうとした際、業者選定するにあたっての佐野社長の考えによく表れている。

見積もりを取り、コンペを行うのは当然のこと。そしてプロの選択で重視するのが、仕事の本質を理解しているか、ということだ。
「大事なのはきちんとロジックがあることです。でも、残念ながら日本には、建築の世界でもアーチストがたくさん混じっている。デザイナーとアーチストはまったく違うんです。ロジックがあるのがデザイナー。なぜこのドアはこっちに開くべきのか。軸はどっちにあるべきか。動線の取り方や視線の取り方。それをプロのデザイナーはよくわかっています。ロジックのないアーチストには、僕はまったく興味がありません。会社として貴重なお金を投資するのに、目標目的に合致したこと以外はできません。」

下積みの時期が長かったクックパッドの底力はこういう地味な見えない部分にこそあるということか。

あとは、まったく料理ができない僕も楽しめるのか、その辺がちょっと気になります。