:NO.141『ネットビジネスの終わり』
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ネットビジネスの終わり (Voice select) (新書)
山本 一郎 (著)
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[ 8点 ] ※10点満点中
切込隊長BLOGの新書。昨今のネットビジネスに関連することについて網羅的に書かれている。
特に『瀕死のメディア企業』の章は、哀愁が漂っていて面白かった。欧米新聞社の死に体ぶりは凄まじいね。死屍累々、惨憺たる有様とはこのことを言う。手を打つほどにコストが嵩む。何をやっても上手くいかない様は、読んでいて痛々しい・・・。
ある高級紙は、新聞事業において紙媒体の効率の悪さが全社的な収益を圧迫していると判断し、紙による新聞紙発行を諦め、全面的にウェブにシフトしてしまった。ウェブ単体であれば充分黒字が見込めたし、輪転機やスタンドへの配送コストを考えると、減り続ける新聞購読者の将来見通しでは事業の存続が危ない、と考えたのである。
ところが、結果は惨憺たるものであった。新聞紙の印刷をやめたこの新聞社は、ウェブの閲覧者自体もほぼ5分の1の22%にまで下落してしまい、頼みのウェブ部門さえ赤字に転落してしまった。
読者は紙媒体のブランドイメージがあるから、ウェブを見ているのであって、ウェブ専門の新聞社になってしまっては存在価値ナシと見なしたのか。この辺に新聞社にとって、大いなるジレンマが存在する。
あと数年後には日本の新聞社も同じような状態に陥っていくかと思われるが、世界にも例を見ない強力な新聞紙の配送システムが足を引っ張ることになるのは目に見えている。かといってズバッとウェブだけに傾斜することもできない。仮にできたとしても黒字化は遠い。八方塞がりです、はい。
それにしても、この本、ハードカバーの新書なんだけど、ハードカバーは堅くて読みにくいし、ソフトカバーに比べて値段も高い。読者にとって良いことありません。(著者にとっては単価が高くなるので印税増えるのか?)
◇切込隊長BLOG(ブログ) Lead‐off man's Blog
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- 作者: 山本一郎
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