:NO.8・9『晩鐘』

hiroki-u2010-02-01

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晩鐘 (双葉文庫) (文庫)
乃南 アサ (著)
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[ 8点 ] ※10点満点中

読了。重すぎる。

ある殺人事件の加害者と被害者の家族の7年後を新聞記者との関わりを交えながら描いた本書。

冒頭いきなり事件が発生するので、ミステリー寄りな感じで読み進めたのが間違いだった。事件はこの物語のメインではなく、あくまで最初から最後までメインは、加害者と被害者が"希望"と"絶望"の間で揺れ動く内面。それを1,000ページにもわたって書き綴っている。

加害者側は、事件の当事者だけでなく家族までも社会的制裁を受け、被害者側は、家族を失いその後の人生の修正を余儀なくされる。そのどちらも当事者でないだけに事件に対する心の整理は想像以上に困難だ。というか、一生心の整理をつけることはできないんじゃないかなと思わざるをえない。

ばんしょう 【晩鐘】
  (1)(寺院などが)夕方に鳴らす鐘の音。入り相(あい)の鐘。暮鐘。
  (2)アンジェラス。

夕暮れ時に鳴るもの悲しい鐘の音のように、じーんと染み入るこのいたたまれない感情はなんだろう。あのラストはなしだよなぁ。

晩鐘〈上〉 (双葉文庫)

晩鐘〈上〉 (双葉文庫)

晩鐘〈下〉 (双葉文庫)

晩鐘〈下〉 (双葉文庫)