:NO.11『日本航空の正体』

hiroki-u2010-02-07

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日本航空の正体 (単行本)
佐高 信 (著), 本所 次郎 (著)
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[ 6点 ] ※10点満点中

山崎豊子の「沈まぬ太陽」と対比するかのような内容だった。

まず、関西のカネボウから日本航空会長になった伊藤淳二と日本航空労働組合委員長の小倉寛太郎の印象が対照的すぎる。沈まぬ太陽が、マジョリティの組合体制派を、利権の巣窟として悪とし、伊藤、小倉ら会長派を善とした単純な対立構造としていたのに対し、本書は、悪vs悪といった日本航空のどうしようもなさを浮き彫りにさせている。むしろ伊藤会長を覇道で強引に推し進めようとするダメ会長として描いているし、小倉にしても、バリバリの共産党然とした協調性のかけらもない人間としている。

本当のところ、どちらが実態に近いのかは知らないが、2冊に共通して言えることは、あまりにも政治的な利権に巻き込まれすぎていて、日本航空単体だけで意志決定してまともな経営をすることは絶対できないだろうなってこと。

小説の時代から四半世紀経った2010年、日本航空会社更生法により新たなはじまりを迎え、奇しくも同じ関西の京セラから稲盛さんが会長就任。歴史の繰り返しにならないことだけを祈ります。

日本航空の正体

日本航空の正体