:NO.44『サムスンの最強マネジメント』

hiroki-u2010-08-28

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ソニー、パナソニックが束になってもかなわない サムスンの最強マネジメント (単行本)
申元東 (著), 前坂俊之 (監修), 岩本永三郎 (翻訳)
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[ 8点 ] ※10点満点中

破竹の勢いのサムスン。韓国では大臣になるより、サムスングループの役員になるほうが難しいって言われるほど、サムスンマンであることのステータスが高い。

そんなみんなが憧れるサムスンに入社するのは狭き門であるのは当然として、課長職になるためにもTOEC920点の足切りがあり、要求スペックは高い。
また、そのような一部の特に優秀な人材のことを社内ではブルーカラー、ホワイトカラーと比して、『ゴールドカラー』と呼ばれているそうな。

特にサムスンの凄さを感じたのは、『地域専門家制度』だ。社員ひとりに10年後を見越して、数億ウォンもの大金を投じて人材育成を推進している。
地域専門家制度は、1990年からサムスンが全世界の主要国に専門家を派遣して始めた制度で、勤務成績が優秀な人材に国際化マインドを育んでもらうために1年間海外へ派遣する。
派遣期間中は直接的にビジネスに関わることはせずに、いわゆる現地で遊学という形をとる。(帰国は許されない。)その間、現地のヒューマンネットワーク構築や物の考え方・文化を徹底的に身につける。そうして体得したことを会社から支給されたノートパソコンとデジカメで自由な形でリアルタイムに会社に報告するだけ。
この地域専門家1名あたり年間1億ウォン(8百万円)を投資している。結果として、サムスンは14年間で60ヶ国以上、700以上都市にのべ 2,800人以上の社員を送り込んでいる。もちろん、この制度は社内でも最も人気があり、公募制になってるため優秀な人材だけが行けることになる。その優秀な人材が会社へ送り続けた情報は常に蓄積され続け、体系的に社内データベース化されている。
世界展開しているサムスンが特に現地マーケティングに注力しているのは、有名な話だが、影でこのような制度に支えられた情報ネットワークあってのことなんだとサムスンの底力を見せつけられた気がした。

会長曰く、「人材を育てないのは罪悪である」と言い切る。中長期的に最も投資効果が高いのは"人"への投資。日本企業が損益悪化に苦しみ、早々に教育費カットに手をつけ、人材育成を怠ってきたツケは思いのほか大きいのかもしれない。

↓と、サムスンマンセーなことばかりが書かれていたけど、世の中そんなに甘くないみたいね。海外に目を向けていたせいで、案外、背後の韓国国内から寝首をかかれる可能性があるのでは・・・。

◇笑うサムスン泣く国民、韓国経済に落とし穴 儲け過ぎの財閥企業に大統領が苦言呈す JBpress(日本ビジネスプレス)
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4146

ソニー、パナソニックが束になってもかなわない サムスンの最強マネジメント

ソニー、パナソニックが束になってもかなわない サムスンの最強マネジメント