:NO.45『日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率』

hiroki-u2010-09-09

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日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
浅川 芳裕 (著)
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[ 8点 ] ※10点満点中

読了。面白かった。統計資料もいろいろあって勉強になりました。また、農水省の利権のために作り出した流行語大賞「食料自給率」がいかにデタラメで無用の長物だってことが分かるし。

社会主義市場経済に敗北したことは歴史が証明してるんだから、農家へのバラマキ補助金でなんとかしようとする農業統制経済は止めようよー。と前々から思ってたけど、さらにその認識が正しいんだと再認識。

農水省による統制経済のような中央集権コントロールといった無駄なことしてないとやる"仕事がない"ってことね。この"仕事がない"ってことに対する著者の解決策が面白い。

農産物貿易は国際検疫競争の勝敗で決まるといわれるほど、検疫の重要性は高い。自由貿易とはいえ、農業生産に損害を与える病害虫の侵入をお互い防止する国境措置は、当然認められている。しかし、その検疫の権利を利用して、輸入を妨げるために必要以上の条件を設けることが横行している。事実上の非参入障壁である。そこで各国の検疫担当者は相手国の要求の弱点を探り当て、検疫レベルを下げるよう交渉するのだ。

そこで、この検疫担当者を1,000人規模のレベルで配転して、実際の輸出検疫スタッフや外国との交渉担当者にすりゃいいじゃんって意見。現実問題、個人的なスキルの問題はあるとは思うけどなかなか面白いなと思った。やろうよこれ。

また、本書の締めのコトバが皮肉満載だ。

いってみれば民主党は、農場の衰退を願っているのだ。それはなぜか。農場が弱くなれば弱くなるほど政治の力を必要とし、不安を抱く国民の農政への期待は高まり、一票の換金率が上がるからだ。自給率は、政治と官僚の力を担保するための呪文なのである。

結論、著者はこれが言いたかったのかな?

たしかに思うんだけど、地方と都市部の一票の格差をどうして違憲と言わないんだろね。地方の一票の重みがそもそも都市部と比して価値があることが、こんな屈折した農政の原因のひとつだと思うんだけど、いかがでしょ。
仮に違憲となって、都市部の国会議員のウェイトが増せばもっと政策(農政だけじゃなくてすべてにおいて)も自然と変わってくるのになぁっと・・・。

民主党代表選で盛り上がっている?今日この頃ですが、小沢さん曰く、いまだに「地方のインフラ増強を!!」って言ってるし・・・。ガラガラの高速道路作って、無料高速道路化して、一時的に大混雑して、結局またガラガラってのがオチでしょ。ホント今更かよって思うんだけど。ネオ田中角栄主義はやめてほしいね。ちょっと期待してただけに残念です。(ま、管さんも雇用、雇用、雇用って連呼してるだけだし、どっちもどっちだけど。)

なんか話が飛躍してしまった。

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書)

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書)